「紬ってよく聞くけど、正直どんな着物なのか分かっていない…」
「紬をオシャレに着たいけど、どんな帯と合わせたら良いんだろう…」
「季節に合わせた紬のコーディネートってどんなものがあるんだろう…」
普段着として広く親しまれている紬ですが、いざ着るとなると分からないことや不安なことがありませんか?
こんにちは。『着物買取女将』のかずよです。
紬はフォーマル目なシーンからカジュアルな場まで幅広く着ることのできる万能な着物ですよね。でもオシャレに着こなすとなるとポイントを抑えることが重要です。
私も友達と食事に行く時に紬を着たいのですが、自分に似合っているのか分からなくて…
自分だけではなかなか正しい着こなしなのか分からないものですよね。今回は紬の特徴や種類から自分にあった色や帯、小物の選び方まで紬に関する全てのことを分かりやすくお伝えするので、安心して下さいね。
この記事の目次
紬(つむぎ)とは、「先染め」の特徴を持つ着物
紬
(出典:https://item.rakuten.co.jp/fukukimono/qq83160-180413bf/)
紬とは、糸の状態で先に色を染め上げた後に織って作っていく着物です。
紬の糸は、蚕(かいこ)の繭(まゆ)から取り出した糸をねじることでより丈夫にして使います。
紬の色合いは絹らしい光沢が無くて渋く、深い味わいや風情があるとして人気を博すことになりました。
一般的な柄としては、格子柄やまだら模様、絣(かすり)というところどころがかすったような模様が多いですね。
紬の格と訪問着、小紋との違い
紬と比べられる着物に訪問着(ほうもんぎ)と小紋(こもん)があります。
これらを「格」「特徴」「着られるTPO」で比較してみましょう。
【紬】
- 格 :カジュアルな外出着
- 特徴:先染め、格子柄やまだら模様、絣模様
- TPO:食事や展覧会などの外出
※お茶会では着用不可
【訪問着】
- 格 :略礼装着
- 特徴:後染め、上半身から下半身まで流れるような模様
- TPO:結婚式や入学式などのフォーマルな式典
(参考記事:親族や友人の結婚式で訪問着はOK!知らないと恥をかくマナーとは?)
【小紋】
- 格 :フォーマル目な外出着
- 特徴:後染め、上半身から下半身まで上下関係ない均一な模様
- TPO:食事や展覧会などの外出
※お茶会で着用可能
(参考記事:小紋とはどんな柄の着物?合わせる帯やコーディネートを全て解説!)
お茶会は趣味の範囲内かもしれないですが、カジュアルな紬を着るのはマナー違反なので気をつけましょう。
紬を着るのにふさわしいTPO
先ほど紬と訪問着、小紋のTPOを比較しましたが、さらに詳しく紬を着られるTPOをお伝えします。
- レストランや懐石料理のお食事会
- ホテルのランチやカフェタイム
- 展覧会や展示会などのイベント
- 美術館やコンサート、お芝居などの観劇
- 京都、浅草、金沢、川越などの「和」の街のお散歩や旅行
紬はあくまでも「普段着」なので、例え最高級の紬であっても結婚式や入学式などのフォーマルな式典には着ていけない点に注意しましょう。
紬はいつから着られる着物?合う季節は盛夏以外
紬は酷暑になる盛夏以外は、基本的にいつでも快適に着ることのできる着物です。
紬は多種多様なカラーや柄があるので、季節に合わせた色合いやコーディネートがしやすいのも特徴です。
また夏紬という夏用の紬もありますが、麻でできた夏用の着物や上布(じょうふ)といった夏着物の方が清涼感があって暑い時期は着やすいですね。
上布の着物についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
>>『上布の着物とは?種類や格、模様の特徴などを分かりやすく解説!』
男性用の紬も粋でオシャレ
紬は女性用だけではなく、男性用もあるのです。
男性用の紬も女性もの同様に、カジュアルな外出着として同様のTPOで着用することができます。
カジュアルな場では袴を履かなくても大丈夫ですが、外出する際は羽織を着て、改まった場に行く時は袴を履くのがマナーです。
紬の魅力は使い勝手と着心地の良さ
紬はちょっと近くでの買い物や親しい友人とのお食事などのカジュアルな場から、美術館やコンサート、観劇などの少しカチッとした場まで幅広く着ていける使い勝手の良さが魅力です。
帯や草履、バッグなどの小物を意識することで高級なところにも似合いますし、軽めの帯や下駄を合わせることでカジュアルダウンさせることもできます。
また紬は軽くて着心地が良いのも魅力ですね。
簡単に着られる普段着として、着付けがラクなのも嬉しいポイントですね。
紬はしっかり着付けるのではなく、ラフに着ることで味が出るんですよ。
有名な紬の種類と見分け方
大島紬(おおしまつむぎ)
大島紬とは、鹿児島県奄美大島や鹿児島市周辺、宮崎県都城市などで作られている着物です。
フランスのゴブラン織、ペルシャ絨毯と並ぶ世界三大織物の一つとして数えられ、次に紹介する結城紬(ゆうきつむぎ)と並ぶ高級紬の代表です。
お値段もかなり高いのですが正装としては着ることができず、あくまでも普段着として着るオシャレ着物です。
大島紬の柄の特徴
大島紬の柄の特徴としては、ところどころにかすったような模様になる絣(かすり)を使って模様が表現されていることです。
縦の糸と横の糸を交互に織り合わせていく平織りで織られているので、生地の表面と裏面とで同じ柄になっているのも特徴です。
大島紬の製法の特徴
大島紬の製法の特徴としては、泥で染める「泥塗り」が挙げられます。
大島紬は、テーチ木(車輪梅)という島に自生している植物を煮出した液体で糸を染め、鉄分の多い泥の中で揉み込むことを繰り返して、キレイな色に染め上げていきます。
大島紬の見分け方
一番簡単な見分け方としては「証紙や登録商標」を確認することです。
産地ごとの生産基準を満たし厳しい審査に合格した大島紬には、証紙や登録商標が必ずついています。
大島紬の詳しい特徴などについてはこちらの記事で解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
>>『【着物買取】大島紬の価格相場は高い?損をしない売り方を解説!』
結城紬(ゆうきつむぎ)
結城紬とは、茨城県小山市や栃木県結城市周辺で作られている着物です。
先ほど紹介した大島紬と並ぶ高級紬の代表で、絹織物の中で唯一「ユネスコ無形文化遺産」に指定されています。
結城紬には大きく「本場結城紬」と「石下結城紬」の2種類があります。
本場結城紬は製造工程の多くを手作業で行う希少価値の高い着物で、日本の「重要無形文化財」に登録されています。
石下結城紬は機械で生産される紬で、流通量も多く色や柄の種類も豊富で安価なため、とりあえず結城紬を着てみたいという方に向いています。
結城紬の柄の特徴
結城紬の柄は亀甲模様で描かれており、模様が細かければ細かいほど価値がある高級な着物だと評価されます。
大島紬と比較すると、結城紬の方が控えめで大人しい模様になっています。
結城紬の製法の特徴
重要無形文化財に登録されている本場結城紬の製法を紹介します。
本場結城紬は、「手糸つむぎ」「絣(かすり)くびり」「地機(ぢばた)織り」の3段階で作られます。
手糸つむぎとは、手作業で真綿を束ねて糸にしていきます。1枚の反物を作るのに約3ヶ月もかかります。
絣くびりとは、手や口を使って絣模様を表現するために糸を縛っていく作業です。これも数ヶ月かかります。
地機織りとは、織る人が機械の中に入って操作する最古の機織り機を使って織る作業です。高級品だと1年以上かけて織る場合もあります。
結城紬の見分け方
大島紬同様に、証紙や登録商標で見分けるのが確実です。
結城紬の着物の詳しい特徴や柄などはこちらの記事で解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
>>『【結城紬とは?】着物の特徴や柄、証紙の見分け方、値段価格相場を紹介!』
塩沢紬(しおざわつむぎ)
塩沢紬とは、新潟県南魚沼市周辺で作られている着物で、大島紬・結城紬と共に「三大紬」として数えられています。
1975年に伝統工芸品として指定されましたが、現在では作り手不足になっており「幻の紬」とも言われています。
塩沢紬の柄の特徴
無地、絣、縞(しま)模様、カジュアルな格子柄など多種多様な柄が特徴です。
色合いは紺色や黒地に白が配色された上品でシックなものが多いです。
大島紬や結城紬よりもカジュアルに着こなすことができます。
塩沢紬の製法の特徴
塩沢紬は、縦の糸に生糸を横の糸に真綿の紬糸を使用して織られます。
「本塩沢」は横糸に強いヨリをかけることで、独特のシボを表現しています。
塩沢紬の見分け方
証紙や登録商標を確認するのが確実です。
塩沢紬の着物の特徴や柄、コーディネート法などはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
>>『塩沢紬とはどんな着物?特徴や柄、コーディネート画像などを紹介!』
牛首紬(うしくびつむぎ)
牛首紬とは、石川県白山市白峰村(旧:牛首村)で作られている着物です。
軽くて丈夫な着心地が好評です。
釘が引っかかっても破れずに、むしろ釘を引っこ抜いてしまうくらい丈夫と言われ「釘貫紬」とも呼ばれています。
牛首紬の柄の特徴
牛首紬は昔は植物を使った草木染めが一般的だったのですが、現在では化学染料を使うことも少なくありません。
ただ現在でも草木染めに見られる柔らかな優しい色合いは、化学染料でも残されている特徴になりますね。
牛首紬の製法の特徴
牛首紬は、二匹の蚕(かいこ)が一緒に一つの繭(まゆ)を作る「玉繭」の糸を主に使って織られるのが特徴です。
玉繭は二匹の蚕の糸が絡まり合っていて糸作りが難しいので、職人の高度な技術と経験が必要とされます。
この過程で作られた糸が牛首紬の軽くて丈夫な生地の秘密なのです。
牛首紬の見分け方
証紙や登録商標で見分けるのが確実です。
牛首紬の着物の特徴や値段相場などはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
>>『【牛首紬とは?】着物の特徴や合う帯、値段や価格相場などを解説!』
紅花紬(べにばなつむぎ)
紅花紬とは、山形県米沢市で作られている着物です。
糸を紅花で染色した着物で、紬の持っている上品さにモダンさが加わったオシャレ着物として幅広い年代に親しまれています。
紅花紬の柄の特徴
紅花紬の柄や色合いは、紅花の紅色を中心にオレンジや黄色の縞柄や格子柄などがあります。
黒や紺などの渋い色合いが多い紬の中では、比較的華やかな色合いの着物ですね。
紅花紬の製法の特徴
紅花紬を作る上で重要なのは、何と言っても紅花からの色の抽出です。
色を抽出する際は、摘み取った七、八分咲きの紅花を素足で踏んで発酵させ、乾かして固めます。
紅花からは赤と黄色の染料が作られるので、青色の藍の染料を加えた三原色で様々な色合いを出すことができます。
紅花紬の見分け方
紅花紬も証紙や商標登録を確認するのが確実ですね。
紬に合わせる帯は名古屋帯や半幅帯がおすすめ
紬はオシャレな場所への外出から近場の買い物まで幅広いシーンで着用できる着物なので、帯もそれぞれのシーンにあったものを選びのがおすすめです。
高級なレストランや料亭でのお食事、品のある美術館やコンサートなどの場では、金や銀の刺繍の入っていない洒落袋帯や名古屋帯が向いています。
一方、友人との気軽なランチやお散歩、旅行などの移動が多いシーンでは、気軽に締められる半幅帯が向いています。
袋帯は礼装用の帯で、カジュアルに着られる紬には不向きなので気をつけましょうね。
紬をキレイに着こなす方法と似合う小物の選び方
着物の色は自分の好きな色でオッケー
紬を着こなす際の着物の色に決まりやルールは特にありません。
自分の気に入った好きな色を選んで大丈夫です。
着物になると自分に似合う色が分からないという方がいますが、普段着ている洋服をイメージして似合う色を選んであげると簡単に決められますよ。
長襦袢・肌襦袢は紬専門のものがオシャレ
紬の下に着る下着の役割をする肌襦袢(はだじゅばん)や長襦袢(ながじゅばん)は基本的にどのようなものでも大丈夫です。
しかし紬専門の襦袢もあるので、オシャレに着こなしたい方は紬専門のものを選びましょう。
半襟・半衿は好きなものでオッケー
長襦袢の襟元に縫い付ける布である半襟・半衿(はんえり)も好きなものを選んで大丈夫です。
帯揚げ・帯締めは金や銀の刺繍が入っていないものを
帯の上部分から出てくる帯揚げや帯の上から巻く帯締めは、金や銀の刺繍が入っていないものが好ましいです。
帯揚げは平織りのものが多く使われていますね。
履物や草履、下駄は着用シーンを考えて
比較的カッチリした場にいくのか、カジュアルな場にいくのかで履物選びは変わります。
カッチリした場にいく場合は草履を、カジュアルな場にいく場合は下駄を選びましょう。
バッグやカバンは着物の色に合わせよう
バッグは着物の色味と同系色に揃えてあげるとトータルで見てオシャレになります。
また金や銀の刺繍が入った礼装用のバッグは紬には合わないので気をつけましょう。
髪型はアップスタイルがおすすめ
紬に似合う髪型は、髪をキレイにまとめたアップスタイルがおすすめです。
髪飾りは好きなもので大丈夫で、カジュアルな場でしたら遊び心のあるものも良いですね。
紬は年齢に関わらず着られる着物
これまでお伝えしてきたように、紬は様々な色や柄があり、帯や小物の合わせ方でフォーマル目な場所からカジュアル目な場所まで色々なところに着ていける着物です。
それに大島紬や結城紬といった高級な紬から、普段使いしやすい気軽に買える紬まで多種多様です。
ですので、比較的若い方でもカジュアルに着こなせますし、年齢を重ねても年相応の味のある着こなしをすることもできるのです。
初めて着物を着る方から着物上級者の方まで、紬は人を選ばずに長いお付き合いのできる素敵な着物なのよ。
紬のコーディネート例2選
黒の紬に赤い帯で大人らしいコーディネート
明るいグレーの紬に茶色の帯で上品なコーディネート
紬の洗濯やお手入れ法
洗濯や洗い方
紬は基本的に生絹100%でできているので、頻繁に洗濯するものではありません。
自宅で洗濯してしまうと着物を痛めてしまい、せっかくの紬が台無しになってしまう可能性があります。
もしも汚してしまって洗濯をしたい場合は、クリーニング店か専門の業者に相談してみましょう。
お手入れ法
紬は基本的に洗濯をしないので、こまめなお手入れが重要です。
お家に帰ってきたら、着ていた紬を衣紋掛けにかけて1〜2時間ほど風にさらして乾燥させます。
もしも外出先で紬に染みを作ってしまった場合は、まずはその場で水を含ませたハンカチで染みをつまむように拭き取っておきましょう。
帰宅後に染みをチェックしてまだ残っているようであれば、中性洗剤か薄めたアンモニア水を使って拭き取ってみましょう。
それでも染みが落ちない場合は、クリーニング店か専門の業者にお願いしましょう。
自分にあった紬を選んでオシャレに着こなそう
紬は小物を変えることで、様々な季節やTPOに合わせて着こなすことのできる万能な着物です。ただオシャレに着こなすためには、紬やそれぞれ小物の特徴を抑えておくことが重要ですね。
紬のコーディネートに不安がありましたが、友人との食事なのでカジュアル目の着こなしにしてみたいと思います!
参考になって良かったわ。食事の時に袖を汚さないように、片方の手で袖を押さえるのもマナーよ。気を付けて食事会を楽しんできてね。
また新しく訪問着を買おうと考えている方は、今持っている着ていない着物を買取ってもらうことも検討してみてはいかがでしょうか?
着ていない着物はドンドン価値が下がってしまうので、高く売りたい場合はできるだけ早く査定してもらうのをおすすめします。
私も実際に6社の着物買取業者に査定してもらって、一番高い金額をつけてくれた業者に売りました。
無料で査定してもらえるので、まずは一度査定してもらってはいかがでしょうか?
>>『【6社査定済】相場よりも高価で売れた着物買取業者口コミランキング』