「着物の生地ってどんな種類があるの?」
「着物の生地の見分け方って何が正しい?」
「季節ごとに適した着物の生地を知りたい!」
こんにちは。『着物買取女将』のかずよです。
着物の生地ってたくさん種類があるし、どうやって見分けたら良いか分かりにくいですよね。
私も着物に興味があってもっとたくさんの着物の生地を知りたいのですが、なんだか違いがよく分からなくて…
私も最初は絹や木綿などの素材の違いについてよく分かりませんでした。
しかし現在では体系的に理解することができています。
今回は着物の生地の種類や見分け方を分かりやすくお伝えしていきますね。
この記事の目次
大まかな着物の生地や素材の種類
海外から熱い注目を集める着物ですが、日本女性にとっても着物は魅力的な存在です。
憧れの装いであっても、成人式で着る以外は触れる機会もない人がほとんどでしょうか。
始めに、着物の生地や素材の種類を紹介していきましょう。
なんとなくわかっている人もいるかもしれませんが、着物のことをまったく知らない人のためにも、かみ砕いて説明していきますので安心してください。
今回は着物の生地の種類を6つに分けて紹介していきます。
- 絹や正絹(しょうけん)
- 木綿
- 麻
- ポリエステル
- ウール
- 特殊な織り方
着物といえば、多くの人が絹製品を思い浮かべるのではないでしょうか?
絹は蚕の繭から作られる天然素材です。
その他の天然素材には木綿、麻、ウールがありますね。
最近では、化学繊維であるポリエステルの着物も改良が進み、安価なだけではなく着心地の良さからも注目を集めています。
また着物は素材だけではなく、織り方の違いによってもそれぞれに呼び名がつけられています。
着物のことを知れば知るほど、魅力や素晴らしさを実感できます。
まずは代表格とも言える絹や正絹から始めていきましょう。
【着物の生地の種類】絹や正絹(しょうけん)
なめらかで独特の輝きがある絹の織物は、一番格式が高い着物とされています。
同じ織物でも綿や麻などの素材で織られた生地よりも、絹の着物が格上です。
そのため、高級な着物には絹が使われます。
多くの人が『着物』と聞いて思い浮かべる色鮮やかな振袖や思わず見とれてしまうような繊細な模様の訪問着は、絹の着物である場合がほとんどです。
着心地がとても良く体の線が美しく見えるのも、絹ならではの嬉しい特徴です。
絹はシルクにあたりますので、つややかな肌触りと美しさから、上品で優雅な雰囲気が伝わります。
洋装でもシルクのドレスには、華やかさと上品さがあり『ハレの門出』一層華やかにします。
女性にとって嬉しい特徴がある一方で、絹は湿度が高くなるとカビやすく、汚れやすいという注意点があります。
絹の着物を美しく保つためには、日頃のお手入れも大切です。
絹が使われている3種類の織物を紹介しますね。
聞き慣れずに初めは戸惑うかもしれませんが、わかってくると着物がより身近に感じられますよ。
綸子(りんず)
『綸子』と呼ばれる生地は絹織物の中でも薄く、単(ひとえ)の着物としても重宝されます。
そのため盛夏を迎える前や暑さが和らいでくる頃に好まれる着物です。
綸子は生地の薄さに加えて、光沢感やなめらかさから、女性の着物に多く使われています。
地模様はさり気なく落ち着いたものが目立ちますが、織り方によっては目立つ地模様にすることもできます。
5本以上の経糸と緯糸で織られる裏繻子模様で成り立ち、表面に見えるのは緯糸だけです。
経糸も緯糸も撚らず(ひねらず)に織り、鍛錬作業をして整えていきます。
緞子(どんす)
緞子は綸子と同じように裏繻子模様で織られ、地組織は繻子織で成り立っています。
先に色が染められた経糸と緯糸を5本ずつ使うのが一般的です。
色の違う糸を組み合わせてはっきりとした模様やさまざまなデザインが生まれ、仕上がりが厚く高級織物として定着しています。
長い歴史を見ると男性が使用することの多かったのですが、元禄時代になると女性の帯に使われるようになり、明治時代に全盛期を迎えています。
厚みのある素材からお茶の道具を包む仕覆(しふく)や掛け軸にも好んで使われています。
【着物の生地の種類】木綿(もめん)
絹で織られた着物がフォーマルな席で着られる機会が多いのに対し、木綿の着物は普段着として幅広く活用されます。
先染めされた糸を使用して織られた『紬(つむぎ)』や『絣(かすり)』でも、使われる糸が絹糸ならおしゃれ着に、木綿なら実用着になります。
着物の『格』で見てみるとカジュアルな場面で着られる着物の中では、木綿が広く親しまれています。
同じ天然素材である絹織物と比較をしても、木綿素材にしかない肌触りと心地よさがあり、絹織物にも劣らない輝きもあります。
また木綿素材の高い吸収力と通気性から、裏地のない単(ひとえ)によく使われます。
気軽に着られることからも、夏場の浴衣に人気の素材ですね。
木綿は『コットン』として、さまざまな産地が世界中にあります。
価格も安く手頃なものから、高価なコットンまで種類も豊富です。
世界中で使用されている木綿ですが、シワになりやすく強い日差しにあたると変色しやすい性質があります。
浴衣(ゆかた)
花火大会や夏祭りなどで、多くの女性が浴衣を着て出かけます。
温泉旅館では、湯上がりに着るために浴衣が用意されています。
浴衣は木綿素材で織られていることが多く、着物の中でも最も身近な存在ではないでしょうか。
もともと浴衣は『寝間着』や『湯上がり着』として着られ、藍を使って染められていました。
最近では、天然素材の藍に代わり化学染料が使用されるようになり、気軽に着られる『遊び着』として定着しています。
浴衣なら幅が15cmの半幅帯(はんはばおび)が使えるため、着付け初心者でも始めやすいですね。
【着物の生地の種類】麻
麻は高い通気性が特徴の素材です。
そのため麻で織られた着物は夏場に活躍します。
一般的に染色が難しいために、色の種類は少なく落ち着いたトーンの着物が目立ちます。
着物に使用される麻は『本麻』と呼ばれ、広く使用されている麻とは異なります。
特に『上麻』と呼ばれる麻が有名で着物に多く使われています。
真夏でも涼しく着こなせるのが特徴ですが、人によってはゴワゴワした手触りに感じられることもありますね。
上布(じょうふ)
上布は着物通の中では、特に人気の高い織物です。
幕府に献上されていたことから、『上布』と呼ばれるようになりました。
細かくした麻の繊維を撚り合わせていく技術になる手積みと呼ばれる独特の技法が活かされ、質の高い織物として評判があります。
上布で織られた着物は通気性の高さから盛夏に着られますが、素材によっては季節の変わり目にあたる6月や9月に向いている上布もあります。
産地によって特性が異なり、越後地方のものは『越後上布』、近江地方で織られた麻は『近江上布』、能登地方なら『能登上布』とよばれています。
上布についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『上布の着物とは?種類や格、模様の特徴などを分かりやすく解説!』
【着物の生地の種類】ポリエステル(化繊)
化学繊維で作られている着物の主な素材はポリエステルです。
絹や木綿などの天然素材と違い、化学的に合成された繊維で織られているため、自然素材の着物と比較すると気軽に和装を楽しめるメリットがあります。
化繊(ポリエステル)の着物も常に改良されていますので、絹素材のような光沢があり、上品な見た目に仕上がっています。
値段もお手頃なものが多く、洗濯してもシワになりにくい性質からもポリエステルの着物に人気が集まっています。
高価な絹の着物の場合には食事をしたときなどに汚してしまう心配がありますが、化学繊維の着物ならお手入れも簡単ですので、着物初心者の選択肢に選ばれやすいです。
ポリエステルは素材によって真夏に着用すると蒸れてしまうこともありますが、基本的に季節を選ばずに着用できますよ。
ポリエステルの着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『ポリエステルの着物は安っぽい?正絹との違いや見分け方、魅力を紹介!』
【着物の生地の種類】ウール
ウールで織られた着物と聞くと、暖かくて冬に着る着物と思われる人が多いかもしれません。
確かに冬におすすめしたい着物でもあるのですが、季節を問わずに楽しめます。
また、シワがつきにくく丸洗いも簡単にできるので、お手入れしやすいのもウールの着物ならではのメリットと言えます。
ウールの着物と言っても種類はさまざまで、シルクと合わせた『シルクウール』や化学繊維との混紡もあり、それぞれの特徴が最大限に活かされています。
ウール100%の織物もありますが、カシミアやアンゴラなどの種類が合わされているものが一般的で、やはりカシミア100%の着物は価格が高くなりますね。
ウールの着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『ウールの着物の特徴とは?洗濯方法や合わせる帯、季節などを徹底解説』
【着物の生地の種類】特殊な織り方の生地
ここまでは織物に使われる素材の種類をお伝えしてきました。
しかし着物は絹や木綿などの素材で分けられるだけではなく、どんなふうに織られたかによっても区別されて着用する場面が変わってきます。
ここからは特殊な織り方から作られる着物生地をお伝えしますので、どんな特徴があるのか一緒に確認していきましょう。
羽二重(はぶたえ)
羽二重は平織で織られます。
通常は1本の糸で織られるのに対して2本の細めの経糸を使う特別な方法で作られるのが羽二重です。
独特の織り方から柔らかい肌触りに仕上がり、良質の光沢が生まれます。
絹で織られた羽二重は『光絹(こうきぬ)』と呼ばれて礼装の着物に使われ、着物の裏地としても重宝される高級な絹織物として扱われています。
木綿で織られた着物の胴裏としても活用され、季節に関わらず重宝される織物です。
木綿の羽二重着物は、寒い冬は体を温め夏は汗を吸収してくれる一年中活用できる着物です。
もともと木綿の着物はカジュアルな場面できることが多かったのですが、最近では高級なアイテムとして認識されるようになっています。
縮緬(ちりめん)
縮緬も羽二重と同じように、平織りを基本にして織られています。
緯糸は右側と左側に強く撚られた2本の糸を使い、経糸は撚らずに織り丈夫に仕上がります。
織り上がった後に生地を煮沸し、整えていくときに撚りが戻りだし、生地の表面に独特の『しぼ』が見られます。
縮緬も各地方でそれぞれの個性が生まれ、京都府北部では『丹後ちりめん』、滋賀県長浜市では『浜ちりめん』として、その価値が認められています。
縮緬独自の織り方により丈夫さに加えて温かみがあるので、着物の他に帯や巾着の生地としても使用されています。
一方で清涼感はあまり期待できませんので、秋から春先に楽しみましょう。
紋意匠(もんいしょう)
紋意匠は地模様のある絹織物で紋意匠ちりめんを表します。
着物は織られた後に刺繍をほどこされ模様を描いて仕上げていきますが、地模様の場合には組織の違いなどから生地そのものにすでに模様が入っています。
紋意匠はつややかで光沢のある地模様が特徴で、訪問着や小紋などさまざまな用途に使われます。
晴れ着としても普段遣いの着物としても重宝されている応用度の高い素材になります。
紋意匠はシーンを選ばずに着られるので、覚えておくととても役に立ちますよ。
一越(いちこし)
『一越ちりめん』が一越と呼ばれ、絹織物の仲間です。
撚った糸を2本使うと『二越(ふたこし)』と呼ばれ、一越の場合には使用する緯糸は1本だけです。
精錬後に独特のちぢれにあたる『しぼ』が出ますが、一越で作られるしぼはとても細かく、凹凸というよりは表面がザラついているように仕上がります。
独自の繊細なしぼから高級感が生まれ、長時間の外出でも着崩れしにくい生地です。
紋意匠同様にシーンを選ばす着用できるので、さまざまな格の着物に使われている織り方です。
また、無地染や捺染(なっせん)などの方法で後染め生地としても高い需要があります。
お召し(おめし)
お召しもちりめん織のひとつで、高級織物として人気があります。
一般的な縮緬よりもしぼが細かく、独特のコシがあるのがお召しの特徴です。
徳川家斉公がお召しを愛用していたことから、『お召し』と名付けられたと言われています。
糸を先に染め上げて織る製法よりも、白い生地を織り上げてから染めていく『染め』で作られる着物のほうが格は上です。
お召しは『先練り先染め』の製法ですが、格は高く略礼装の場面でも着用できます。
お召しの着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『お召し、御召縮緬の着物とは?種類や格、コーディネート画像を紹介!』
紬(つむぎ)
紬は普段遣いでよく着られるため、親しみのある人が多いのではないでしょうか。
紬糸と呼ばれる撚りのかかった絹糸で織られます。
おしゃれに着こなしたい人にも人気の織物です。
作り上げるのに手間と時間がかかるために値段は高いものが多いのですが、先に糸に色付けをする『織り』にあたり、格式はあくまで普段使用になります。
それでも紬は多くのカジュアルな場面で人気があり、愛用者の多い着物です。
紬の着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『紬とはどんな着物?知っておきたい帯やコーディネート作法を徹底解説』
絽(ろ)
絽はねじった2本の経糸と緯糸で織り上げていく製法です。
涼しく透明感のある仕上がりになりますので、絽で作られた着物は暑い季節でも着こなせます。
絽の着物は訪問着や小紋、留袖にも使われ、夏場のお茶会や結婚式などのフォーマルな場面で重宝します。
絽の織り方にはいくつかの種類があります。
緯糸を織り込む間隔によって、見た目や通気性に違いが生まれます。
3本おきの場合には『三本絽』、五本なら『五本絽』、7本おくと『七本絽』と呼ばれ、すき間が広くなるほど暑い季節でも涼しく着こなせます。
絽は夏場向きと思われがちですが、すき間の少ない絽であれば盛夏以外の6月や9月でも違和感なく着用できますよ。
紗(しゃ)
紗の着物は織り目が大きく、絽と同じように暑い季節でも着こなせます。
網目のように幅が広く透明な印象を与えます。
礼装には向いていませんが、セミフォーマルくらいなら紗の着物でも十分でしょう。
合わせる襦袢の色によって印象が大きく変わりますので、工夫次第でさまざまな楽しみ方が生まれます。
白い襦袢と合わせるとより透明感が際立ち、涼しい印象を与えます。
色襦袢と組み合わせれば、春や秋の装いにぴったりな雰囲気になります。
刺繍をほどこし紋様を入れ、織り上げて紋様を入れて作られた紗は『紋紗』と呼ばれます。
羅(ら)
羅は先ほど紹介した絽や紗よりも粗く織られ、細い毛糸で編まれたように透けて見えるのが特徴です。
もともと羅という言葉は小動物を捕まえる網にあたることからも、粗いイメージが湧くのではないでしょうか。
織り目が粗い特徴から、多くは帯やコートに用いられてきました。
通気性が高いために、紗の着物に羅の帯を組み合わせるスタイルが盛夏に好まれています。
縮(ちぢみ)
強めに撚りが掛けられた緯糸を織り込んでできるのが『縮』です。
織った後にお湯につけることで、表面に波形の『しぼ』が生まれます。
絹や木綿、麻などの天然素材だけではなく、ポリエステルなどでも作られています。
麻で織られた縮は『麻縮』と名前がつけられ、織られる産地によっても呼び名が変わります。
石川県能登地方なら『能登縮』、新潟県小千谷で織られた縮は『小千谷縮』、越後地方なら『越後縮』として多くの人に親しまれています。
縮は独自のしぼから涼しく着こなせ、盛夏に着物を着たいときにも安心して選べるアイテムです。
参考記事:
『【小千谷縮とはどんな着物?】特徴や浴衣としての着方、洗濯法を解説!』
縮はお手入れも比較的簡単にできるので、6月から9月にかけて頼れる存在ですよ。
着物の生地や素材の見分け方
着物は織り方や素材によって、着こなせる場面である『格』が決まります。
新品の着物であれば生地の素材はわかりますが、お母さんから譲り受けた着物の場合や中古品のケースには見分けがつきにくいことがあります。
ここでは一般的な素材の見分け方をお伝えしますので、素材がわからなくなってしまったときに活用してくださいね。
絹生地の見分け方
絹は天然素材であり、つややかな肌触りが特徴ですが、実はポリエステルのなめらかさと見分けがつきにくいことがあります。
もちろん着物と接する機会が多い人ならすぐに違いがわかりますが、ポリエステルの質が向上しているために着物初心者の場合には迷ってしまうことが多いです。
絹の着物は自然に肌に馴染み、着心地はポリエステルの場合と大きく異なります。
汗をかいてもポリエステルのように肌に張り付くこともなく、暑い夏でも快適に着こなせます。
手にとってもわかりにくい場合には、実際に袖を通してみると違いがわかることもあります。
絹の着物なら初めはひんやりと感じられた感覚が肌にしっとり馴染んでいきます。
生地をこすってみたときに、反応がやわらかいときには絹であると言えます。
また絹糸の場合には火を付けると縮みながら燃え、髪の毛を焼いたような独特なニオイがします。
燃えた後の塊は触ると粉になります。
麻と木綿の生地の見分け方
麻と木綿の生地も見分けがつきにくいことがあります。
木綿素材の着物は絡まった一律の繊維が目立ち、触った感じはゴワゴワとした硬い感じが特徴的です。
麻の着物なら、木綿よりもすべすべして長い繊維で織られています。
木綿の糸は簡単に燃え、炎から距離をおいても火が消えません。
麻の繊維なら燃え方は非常にゆっくりで、燃え残りはふわっとした状態です。
木綿を燃やした後には、粉状の灰になります。
ポリエステルの生地の見分け方
まったく異なる素材に思われますが、先ほどもお伝えしたように絹製品とポリエステルの生地を見分けるのは簡単ではありません。
化学繊維の質が向上していることもその理由ですが、絹とポリエステルでは手触りがとても似ています。
固く乾いた肌触りを感じた場合には、ポリエステルの可能性があります。
袖を通した直後から時間がたっても着心地が変わらないのもポリエステルの特徴です。
汗をかいたときに絹のようなサラッとした感じはなく、蒸れてきたらポリエステルと言えるでしょう。
生地をこすり合わせると硬い感じが伝わり、静電気が起きやすいのもポリエステルの性質です。
糸は燃えやすく、炎が出ます。
残った燃えカスは溶けるように糸状になります。
ポリエステルの着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『ポリエステルの着物は安っぽい?正絹との違いや見分け方、魅力を紹介!』
ウールの生地の見分け方
ウールは比較的見分けがつきやすい素材です。
羊などの動物の毛から作られていますので、表面が毛羽立って見えます。
触ったときにチクチクするような感覚があれば、ウール素材と言えます。
寒い季節でも暖かく着られるのがウールの着物の特徴ですので、保温性が感じられればウール素材の可能性が上がります。
糸を燃やしてみると縮れながら燃え、固まった灰を手で触ってみると細かく粉々になります。
ウールの着物についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>『ウールの着物の特徴とは?洗濯方法や合わせる帯、季節などを徹底解説』
着物の生地の種類によって着用できる季節が異なる
着物は日本の伝統的な服装です。
日本の風土や気候に合うように作られていますので、四季それぞれに適した着物が作られてきました。
そのため、寒いときでも暑いときでも快適に着こなせる様々な織り方が生まれました。
同じ素材を使っても糸の撚り方や織り方を変えることで、涼しく着こなせるアイテムから暖かくすごせる厚手の生地まで仕上げることができます。
また染め方や刺繍の入れ方によって、フォーマルな場面から日常使いのおしゃれ服になるのも着物ならではの魅力ですね。
織り方によってどんな違いが生まれるのかを覗いてみると、長い歴史の中で親しまれてきた着物の知識が深められますよ。
基本的な着物の生地の織り方
『反物(たんもの)』という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。
呉服屋さんなどに置かれている丸く巻かれている着物の生地が反物です。
ひとつの反物で大人ひとり分の着物が作られる長さになっています。
時代により反物の長さは変化しています。
現在は長さが13m、幅が37cmのものが主流です。
反物に仕上げるまでの生地の織り方は、大きく分けて3つのパターンがあります。
『平織』、『綾織』、『朱子織』になり、この3つの織り方をまとめて『三原組織』と呼びます。
三原組織に『もじり織』が加わると『四原組織』と呼ばれています。
今回は代表的な三原組織について紹介しますね。
平織
平織りの織り方はとてもシンプルで、経糸と緯糸を一本ずつ交差させながら織り上げていきます。
織り込む糸の数を増やすと『魚子織』や『斜子織』になり、羽織や帯の生地に使われます。
糸の間に隙間ができる平織りは薄めに仕上がり、暑い季節でも快適に着こなせます。
通気性に優れている上、丈夫で長持ちするメリットがあります。
摩擦に対しても耐久性があるので、着物を着たときの振る舞いに慣れていない初心者でも安心です。
綾織
綾織の織り方は、始めに2~3本の経糸を緯糸に重ねた後に、1本の緯糸に潜らせます。
この繰り返しが綾織です。
経糸の数に変化をつけると、さまざまな模様が生まれます。
平織りは1本ずつ交差させるために、表面の模様は左右対称です。
綾織の場合には糸が交差する点が斜めにずれ、表面に現れる模様も対称にはなりません。
繻子織(別名:朱子織)
繻子織りは縦糸と横糸が交わる点を目立たせない工夫がされています。
生地に見られるのは経糸か緯糸のどちらか一方になり、糸の数が多いために厚手の生地に仕上がります。
それでも触り心地はとても柔らかく、つややかな見た目になり、細やかなデザインを加えることも可能です。
そのため、繻子織は寒い季節の礼装向きになります。
摩擦には決して強くありませんので、乱暴に扱ってしまうと簡単に毛羽立ちます。
気軽に日常使いするよりは、フォーマルな場面で着るようにすると生地を痛める心配が減りますね。
ポリエステルの素材で織られた朱子織もあるので、カジュアルなシーンで朱子織の着物を着たいときには丈夫な化学繊維素材の着物をおすすめします。
着物の生地や素材の種類を理解して、着物を楽しみましょう!
着物の生地や素材にはたくさんの種類があって、織り方によっても区別されることが分かりましたでしょうか?
日本に四季があるからこそ、いろいろな気候に対応できるように生地や素材、織り方を変えていったのですね!
そうね。それに着物は生地や素材以外にも絵柄や模様も様々だから、知っていくと本当に面白いものよ。
着物の生地や素材について理解した方は、次は着物の種類や格の違いについて見てみると、もっと着物を楽しめると思うわ。
末っ子の卒業式、入学式に最後だからと着物を着てみました。
魅力にハマって色々みていたときにこのページを発見し、とても勉強になりました。ありがとうございます。