「丸帯ってどんな特徴を持った帯なんだろう?」
「丸帯って格が高い帯らしいけど、袋帯との違いって何?」
「丸帯ってどんな結び方がふさわしいんだろう?」
こんにちは。『着物買取女将』のかずよです。
最も格式が高い帯とされる丸帯ですが、現在では使用されるシーンも限られてきているため、丸帯を正しく使える方はそう多くありません。
私も祖母から譲り受けた丸帯があるのですが、どう使ったら良いのか分からなくて…
丸帯は珍しいから、使い方が分からなくてもしょうがないですよね。
着物は格やマナーが厳しい世界だから厳しく見えるかもしれないけど、安心して下さいね。
今回は丸帯の特徴や袋帯との違い、ふさわしい結び方など丸帯について分かりやすくお伝えしていきます。
この記事の目次
丸帯とは
丸帯とは、江戸時代中期から見られるようになった女帯の一種です。
それまで狭い幅の帯が主流だったのですが、江戸時代に流行した大きな髪型とのバランスをとるために、幅が広く、大きく結べる丸帯が用いられるようになりました。
錦織(にしきおり)や金襴(きんらん)、緞子(どんす)など華やかでぜいたくな織物を、当時の中国から運んできて仕立てていました。
丸帯は最も格式の高い帯とされ、戦前までは第一礼装用に用いられます。
しかし戦後は、袋帯の普及とともに、しだいに丸帯が使われる機会は減っていきました。
現在では、丸帯を見かけるのは、白無垢・黒引き振袖・打掛・色打掛などの婚礼衣裳、また舞妓さんの衣装くらいです。
丸帯の特徴
一見したところでは、袋帯との違いは分からないかもしれません。
しかし袋帯のほとんどが裏は無地ですから、両面に同じ柄が入った丸帯は、よく見ると、たいへん華やかです。
ただ、袋帯二本分の重みと分厚さですから、袋帯にくらべると扱いづらく、ちょっと結びにくいものです。
また、長さも袋帯にくらべると少し短めで、約4m。
そのため、結び方についても「一重のお太鼓でもよい」「二重太鼓でなくてはいけない」など、いろいろな意見が見られます。
仕立て方にも袋帯との違いがあり、丸帯は幅広に織った帯地を二つに折って、「方縫い袋」と呼ばれる綴じ方で仕立てます。
丸帯と袋帯の違い
あらためて丸帯と袋帯の違いをまとめると、次のようになります。
1、仕立て方の違い
丸帯は、幅広に織った帯地を二つに折って、袋状に仕立てます。
一方袋帯は、表地と裏地、二枚の生地を縫い合わせて仕立てられます。
2、長さの違い
袋帯に比べて、丸帯の方が少し短く仕立てられています。
3、結びやすさの違い
丸帯には厚みと重さがあり、袋帯にくらべると扱いが難しく、また結びにくいと言えます。
4、外見の違い
一見したところあまり変わりませんが、裏が無地の袋帯にくらべると、両面に柄が入った丸帯はより華やかです。
5、値段の違い
丸帯は5万円前後から、袋帯は3万円前後から手に入ります。
6、帯の格の違い
丸帯がもっとも格が高く、フォーマル専門とされます。
丸帯に次いで格が高い袋帯は、フォーマルにもセミフォーマルにも使えます。
参考までに、一般的に帯の格は、高い方から丸帯→袋帯→名古屋帯とされています。
丸帯の仕立て方
丸帯には、幅1尺8寸5分(約70cm)、長さ1丈1尺5寸(約4m35cm)以上の帯地が使われます。
この帯地を二つに折って袋状に仕立てるので、表と裏は同じ柄に仕上がります。
仕上がった帯の幅は約32cm~34cm、長さは約4m前後なので、袋帯よりも少し短めです。
このように丸く折って仕立てるので、丸帯と呼ばれるようになりました。
丸帯の結び方|お太鼓結びとは?
もっとも一般的な帯結び、お太鼓結びについてお話ししましょう。
お太鼓結びには、一重太鼓と二重太鼓があります。
背中のお太鼓の部分の重なりによって、このように呼ばれます。
お太鼓の部分を、帯一枚にして結ぶのが一重太鼓、帯が二枚重ねになるように結ぶのが、二重太鼓です。
帯の長さの違いで、名古屋帯と呼ばれる短めの帯ならば一重太鼓に、袋帯ならば二重太鼓に結びます。
多くの場合、おめでたいお席では「喜びが重なるように」「重ね重ねおめでとうございます」という意味を込めて、袋帯を二重太鼓に結びます。
逆に、ご不幸の場合は「これ以上、不幸が重なることがないように」名古屋帯を一重太鼓に結びます。
ただ、ひと口に袋帯・名古屋帯と言っても、絵柄の格や、生地のよし悪し、金糸銀糸がどのくらい使われているか…などによっても、帯の格が変わってきます。
ですから、必ずしも、結婚式だから一重太鼓の名古屋帯は使えないということではなく、豪華で格調たかい絵柄の帯であれば、一重太鼓に結んだ名古屋帯で出席してもかまわないのです。
一重太鼓と二重太鼓について、少しお分かりいただけましたか?
では、次に丸帯の結び方についてお話ししましょう。
まず、丸帯には表裏がないので、その点は気にせずに結ぶことができます。
少し短めで厚みもあるため、二重太鼓では結びづらく、一重のお太鼓で結ぶことが多いようです。
豪華な柄が両面に入っているので、一重太鼓でも十分に華やかに見えるのです。
丸帯の格は最上とされていますから、帯結びは一重太鼓ですが、どんな正式なお席にも、自信をもって締めていただけます。
さらに丸帯の変わった結び方として、引き抜き結びがあります。
これは、一人でもお太鼓を作りやすいようにと、丸帯のために工夫された帯結びとされています。
この引き抜き用の丸帯は、お太鼓の柄とたれの柄が上下逆さまになっているのが特徴です。
そのため、普通にお太鼓結びをしてしまうと、柄がちぐはぐになってしまいます。
丸帯を結ぶときには、引き抜き用のお仕立てになっていないかどうかという点に、どうぞ気をつけてください。
また、舞妓さんの代名詞、だらりの帯に使われることが多いのも丸帯です。
舞妓さんが歩くときも舞うときも、美しく表裏を見せてくれる、丸帯ならではの帯結びと言えるでしょう。
丸帯の値段や価格
丸帯には、豪華な帯地が、袋帯およそ二本分使われているのですから、それだけでも、とても高価な帯ということになります。
お手頃なものでも3万円前後から、高価なものでは10万円、20万円はもちろん、100万円以上のものもあります。
丸帯のリメイク法
(出典:https://ssl.inishie-drm.jp/blog)
これほどぜいたくで、華やかな丸帯も、最近では見かけることが少なくなりました。
主に袋帯が使われるようになったため、丸帯は少し大げさで古くさいと思われる方も多いのではないでしょうか。
お祖母さまやお母さまの大切な丸帯が、箪笥のなかで眠ったまま…というお宅は少なくないでしょう。
思い出のあるもの、またよいものであるだけに、捨ててしまうわけにもいきません。
かと言って、普段着物を着なれた方でも、重さや扱いづらさに、ついつい袋帯を締めてしまい、丸帯には出番がないということもあるでしょう。
丸帯は、古きよき時代のぜいたく品です。
せっかくの豪華な柄を人目に触れず眠らせたままにしておくのは、もったいないと思いませんか?
この先、格式のたかいお席で締めるご予定がないのなら、リメイクを考えてみてはいかがでしょう。
帯以外のものにリメイクすれば、美しい柄を存分に活かしてあげることができます。
丸帯をリメイクする際には、その特徴から、注意が必要な点がいくつかあります。
ここで丸帯をリメイクするために気を配らなくてはいけないポイントについて、少しお話ししましょう。
まず、丸帯では、柄のすべてが刺繍になっているという点です。
刺繍を施された布地の裏を想像してみてください。
丸帯の生地の裏には、たくさんの刺繍糸が出ているため、この糸の始末が問題なのです。
また、刺繍糸はとてもデリケートで紫外線に弱く、普段、屋外で使うものにリメイクする場合には、ケアによっては色落ちなどの心配があります。
そのため、バッグや履物などへのリメイクには、向かない素材とも言えます。
このような丸帯の特徴を考えると、おすすめのリメイク品は、屋内で使う、もしくは紫外線に当たらないものということになるでしょう。
例えば、クッションカバーやぬいぐるみなどが考えられます。
実際に座るよりも、飾りや鑑賞用として置かれる椅子の張り生地としても、映えるでしょう。
ほかにも、小さめの敷物や小物入れなどにリメイクするのも、とても素敵です。
ちょっとした贈りものにしても、きっと喜ばれることでしょう。
アイデアはあるけれど、自分でリメイクするのは難しそうという場合には、リフォームショップやプロの業者さんにお願いすることもできます。
料金はかかってしまいますが、プロの手で思いどおりのリメイクをしてもらえれば、大切な丸帯が姿をかえて、自慢のひと品になって戻ってきますよ。
丸帯を袋帯にリメイクできる?
丸帯を袋帯にリメイクすることは、基本的には可能です。
ただ丸帯は短く仕立てられたものが多いため、袋帯にリメイクするには、ふたつの方法があります。
二重太鼓で結ばなくてもよいと考えるか、やはり二重太鼓に結べた方がよいと考えるかで、リメイクの方法が違ってくるのです。
まず、二重太鼓にはこだわらないという場合。
この場合は長さは短めのまま、裏地をつけます。
二重太鼓には結べず、京袋帯・染名古屋帯と呼ばれる帯に仕上がります。
次に、二重太鼓に結べる帯にリメイクする場合。
この場合は、十分な長さにするために、表側に接ぎを入れなければなりません。
幸い、丸帯は両面に同じ柄が入っていますから、共生地を足すことができます。
共生地で接ぎを入れて、長さを出したのちに裏地をつけます。
これで、普通の袋帯として、二重太鼓に結ぶことができるようになります。
丸帯は花嫁衣装や振袖の帯としても使える?
(出典:https://www.fuku-chan.info/column/kimono)
もちろん使えます。
ただ、最近の振袖の帯結びは、凝ったかたちが多く、固くて長さの足りない丸帯には、向かない結び方があるかもしれません。
細かくプリーツのようにたたんでつくる帯結びや、長さを利用して複雑なかたちにつくった帯結びは、丸帯では難しいでしょう。
丸帯は生地に厚みがあり、古い仕立ての帯では、使われている帯芯がとても固い場合が多いのです。
シンプルな帯結びであれば、丸帯は十分に使えます。
文庫やふくら雀、立て矢などの帯結びであれば、しっかりした丸帯の特性を生かして、しゃんとした美しいかたちに仕上がります。
丸帯向きの帯結びを選んで、ぜひクラシックで豪華な雰囲気を楽しんでください。
丸帯も、きっと喜びますよ。
丸帯を上手に使って着物を楽しみましょう!
丸帯は最も格の高い帯で、一重のお太鼓結びで結ぶのが一般的な帯になります。着用シーンは限られますが、結婚式でも十分に使える帯ですね。
丸帯を使わない場合はリメイクするって選択肢もあるんですね!
そうね!リメイクすることで形を変えて、丸帯を思い出と共に残しておくことができるわ。
あとは着物買取業者で買い取ってもらうのも一つね。
丸帯は高価買取してもらいやすい帯だから、帯が経年劣化しないうちに査定してもらうのもおすすめよ。
私も6社の着物買取業者に査定してもらったけど、査定額に2倍以上の差があったの。
どこの着物買取業者に査定してもらうかはかなり重要だから、丸帯の買取を検討している方はぜひ私の体験談を参考にして下さいね。