「結城紬ってどんな柄の着物?」
「本場結城紬の証紙はどう見分けたら良いの?」
「結城紬の値段相場っていくらくらいなのかな?」
こんにちは。『着物買取女将』のかずよです。
三大紬の一つである結城紬ですが、その特徴をちゃんと理解できている人は多くありません。
私も結城紬に興味があるのですが、もっと詳しく知りたくて…
本場結城紬と普通の結城紬は生地の質感も異なりますし、証紙の見分け方も知っておく必要があります。
今回は結城紬の着物の特徴や柄、値段相場、帯のコーディネートなど結城紬について分かりやすくお伝えしていきますね。
この記事の目次
結城紬とはどんな着物?
結城紬は茨城県小山市・栃木県結城市で織られる絹織物で、たいへん高級な紬として知られています。
着物好きのあいだでは「結城」と呼ばれることが多く、奈良時代まで遡ることができるほど古い歴史をもつ織物です。
日本三大紬の一つとしても有名で、他には「大島紬」や「塩沢紬」が挙げられます。
参考記事:
『【着物買取】大島紬の価格相場は高い?損をしない売り方を解説!』
『塩沢紬とはどんな着物?特徴や柄、コーディネート画像などを紹介!』
国の重要無形文化財であり、ユネスコの無形文化遺産にも指定されています。
特徴
ほとんどの紬は緯糸に真綿から紡いだ紬糸を、経糸には普通の絹糸を用いて織られています。
しかし結城紬では、緯糸経糸の両方に紬糸が用いられます。
これは結城紬だけの特徴とされています。
真綿はたいへんやわらかく空気をたくさん含んでいるため、緯糸経糸の両方に真綿から紡いだ紬糸を用いて織られた結城紬の特徴は、その軽さと暖かさであると言えるでしょう。
模様や柄は亀甲が特徴
結城紬のもっとも代表的な模様は「亀甲絣」です。
「亀甲絣」は亀の甲羅の六角形を絣の模様に表したもので、不老長寿を願うおめでたい柄です。
一般に反物の巾は40㎝弱ですが、この巾のなかに亀甲絣が80並んでいれば80亀甲、100並んでいれば100亀甲と呼ばれます。
つまり数字が大きいほど亀甲一つ一つは細かくなり、模様としては複雑なものになるということです。
結城紬では80亀甲、100亀甲、120亀甲、160亀甲、200亀甲が見られます。
なかでも100亀甲がもっとも多く、200亀甲までの細かい柄を目にする機会はそう多くありません。
亀甲以外にも「格子」や「十字」の絣模様も見られ、それぞれ「総柄」「飛び柄」「帯状」「縞」などにデザインされています。
結城紬の値段や価格相場
多くの反物や着物の価格は、主にその手間で決まります。
織りの着物の場合は、さらにその傾向があきらかです。
無地の生地にくらべると縞のものの方がより高価になり、縞よりも絣の方がさらに高価になっていきます。
結城紬のなかでも、高価なもののほとんどは本場結城紬の絣と言われています。
実際には模様や織り方によって結城紬の価格もさまざまなので、ご自分のお好みやご予算にあった結城紬をお求めになることができます。
本場結城紬の値段
本場結城紬は非常に高価な着物で、新品の着物だと200万円以上のものもあります。
その一方で、中古の安い本場結城紬だと20,000円から30,000円前後の着物も売られています。
高い着物だからこそ、亀甲絣の数や生地の状態によって大きく値段は変化するので、色々な着物をチェックしてみましょう。
今回は比較するためにも、高いものと安いものの2種類をご紹介します。
【値段】
2,500,000円
【販売ページ】
https://item.rakuten.co.jp/kimonoichiba6/1218668/
【値段】
19,800円
【販売ページ】
https://item.rakuten.co.jp/auc-erishou/91030702/
証紙の有無によっても値段は大きく変わります。
結城紬に合う帯
紬はカジュアルな普段着とされています。
結城紬は素朴な風合いで色も控えめなものが多いため、帯合わせで少し華やかになさるとよいでしょう。
帯の種類としては、半幅帯や名古屋帯、塩瀬の染め帯などがおすすめです。
あまり豪華な帯では着物と不釣り合いになってしまうので、気をつけましょうね。
結城紬のコーディネート画像5選
亀甲絣の結城紬×名古屋帯の上品なコーディネート画像
品のある絣模様と帯合わせで大人の魅力が出ていますね。
格子柄の結城紬×更紗帯のカジュアルコーディネート画像
ほどよくカジュアルな感じで、普段着として使いやすそうなコーディネートですね。
グレー無地の結城紬×洒落袋帯の上品なコーディネート画像
珍しい無地の結城紬でシックな印象のコーディネートですね。
藍色の結城紬×赤色の帯のコントラストが光るコーディネート画像
着物の色と帯の色合わせのバランスがとれているコーディネートですね。
ベージュ無地の結城紬×黒の名古屋帯のモノトーンコーディネート画像
無地の結城紬かつモノトーンの色合わせで、大人の上品さが際立つコーディネートですね。
【偽物もある!?】結城紬の証紙と見分け方
結城紬はたいへん高級な織物ですので、ほとんどの場合は証紙がついています。
証紙はその生地の由来・品質を証明する重要なものです。
売却をお考えになるときには、証紙をお持ちかどうかで買取価格が大きくちがうこともあります。
ここでは、結城紬につけられる証紙について見ていきましょう。
織りあがった本場結城紬の反物は、本場結城紬検査協同組合の検査を受けます。
この検査は反物の幅、長さ、打ち込みの本数や模様のずれなど16項目にも及ぶ厳しいもので、合格したもののみに証紙が貼られます。
さらに織り方などによって貼られる証紙の種類も変わってきます。
本場結城紬の証紙には「結」マークがつく
以下の条件に合う反物には、本場結城紬卸商協同組合が発行する「結」マークと呼ばれる印がついています。
- 「茨城県本場結城紬織物協同組合」と「栃木県本場結城紬織物協同組合」に加盟していること
- 本場結城紬検査協同組合にて検査に合格すること
- 産地問屋に納めること
「結」マークがついている本場結城紬は、さらに「地機平織り」「高機平織り」「地機縮織り」「高機縮織り」の四つに分類されます。
地機(じばた)はたいへん古くから中国や朝鮮で使われていた織り機で、日本には5世紀頃に伝わったとされています。
腰掛けて織る高機(たかはた)にくらべると、織機の脚が極端に短いのが特徴です。
そのため、織り手は足を投げ出して座った状態で作業をします。
踏み板はなく、織り手は足の指に綱をかけて綜絖 (そうこう) の上げ下ろしをします。
歴史あるこの地機織りも、重要無形文化財に指定されているのです。
普通の結城紬の証紙には「紬」マークがつく
「結マーク」のついていない普通の結城紬には、茨城県結城郡織物協同組合が発行する「紬マーク」と呼ばれる印がつきます。
この組合は、鬼怒川沿いの茨城県結城郡石下町を中心とする地域で生産される「いしげ結城紬」を取りあつかっています。
本場結城紬と結城紬の違いや見分け方
「本場結城紬」とそれ以外の「普通の結城紬」のちがいはどこにあるのでしょうか。
価格がちがうという点は先ほどお話ししましたが、ではその価格のちがいはどこから来るのでしょうか。
まず「手織り」と「機械織り」についてお話ししましょう。
本場結城紬は手織りが基本です。
重要無形文化財に指定された地機を使って織られたものもあり、そのほかの工程のほとんども手作業で行います。
大量生産が難しいため希少価値が高く、それにともなって価格もたかくなります。
一方、いしげ結城紬は機械織りです。
こちらは数多く生産することが可能なので、お値段もお求め安いものになっています。
また生地の質感にもちがいがあります。
本場結城紬の方が普通の結城紬とくらべて厚みがあり、しっかりとしています。
ただ両者のちがいの見極めは着物のプロにも難しいとされていますので、やはり証紙を確認なさることがいちばん確実な見分け方であると言えますね。
結城紬と大島紬の違いや見分け方
結城紬と大島紬、どちらもたいへん有名で高級な日本を代表する紬です。
ここでは結城紬と大島紬の違いと見分け方についてお話ししましょう。
まず、両者のもっとも大きな違いは糸です。
大島紬には生糸が用いられ、結城紬には真綿から紡いだ糸が用いられます。
次に染め方の違いです。
大島紬ではテーチ木を煮出した液で「泥染め」されます。
一方の結城紬は「藍染め」です。
絣模様の作り方にも大きな違いがあります。
大島紬が締機(しめばた)と呼ばれる器具で一度絣筵(かすりむしろ)を織り上げてから染められるのに対して、結城紬は太い綿糸でくくって染めることで絣模様を作ります。
こうしてできあがった絣模様は、一般的には大島紬の方が華やかであるとされています。
生地を手にとって見分けるときのポイントとしては、大島紬は南の織物ですから薄くて軽く、結城紬は地厚で暖かな生地であるという点でしょう。
また生糸で織られた大島紬は、結城紬にくらべるとつるつるとした手ざわりも特徴です。
いずれの紬も丈夫で、「大島は三代、結城は末代まで」と言われるほどに長く着られる着物とされています。
大島紬についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味にある方はぜひご覧下さい。
>>『【着物買取】大島紬の価格相場は高い?損をしない売り方を解説!』
結城紬の歴史
結城紬の歴史は古く、2000年ほど前まで遡ると言われています。
そのころ、美濃から結城に近い常陸国久慈郡に移り住んだ多屋命(おおやのみこと)という人が長幡部絁(ながはたべのあしぎぬ)と呼ばれる織物を織ったのが始まりとされています。
その織物が「常陸紬」となり、室町時代になってこの地方の領主であった結城氏の名を取って「結城紬」と呼ばれるようになりました。
さらに江戸時代初期には、代官・伊奈忠次(いなただつぐ)が京都の織物技術などを取り入れ、結城紬に改良を加えます。
時を経て1873年、結城紬はウィーン万国博覧会に出品され、世界中に知られる織物となります。
そして1953年に平織りと縮織りがともに茨城県無形文化財に指定され、1956年には平織りが国の重要無形文化財に指定されます。
さらに1977年には経済産業大臣指定の伝統工芸品として承認。
2010年にはついに、ユネスコの無形文化遺産リストに登録されました。
結城紬は伝統と歴史のある日本の誇るべき着物と言えますね。
結城紬の製造工程
結城紬の30ほどの製造工程のうち、「糸つむぎ」「絣くくり」「地機(じばた)織り」は国の重要無形文化財に登録されています。
ここでは、歴史あるこれらの技法について見ていきたいと思います。
糸つむぎ
(出典:http://www.okujun.co.jp/characteristic/process/)
まず広げた真綿を「つくし」と呼ばれる器具に巻きつけます。
そこから左手の人差し指と親指を使って、糸を引き出します。
右手の指に唾液をつけながら、親指と人差し指で真綿を細くまとめて糸にしていく作業が続きます。
紡ぎ出された糸は「おぼけ」とよばれる桶に入れていきます。
一般的にはここで糸を強くするために撚りをかけますが、結城紬の糸は撚りをかけない無撚糸です。
そのため力加減が難しく、均一な太さに紡ぐ技術はたいへん高度なものとされています。
一反分の糸を紡ぐためには、3ヶ月かかるとも言われています。
絣くくり
(出典:http://www.okujun.co.jp/characteristic/process/)
絣の柄になる部分の糸に染料が入らないように、絣糸をくくる工程です。
木綿糸を数回巻きつけ、特殊な結び方でくくります。
くくり方が弱ければ染料が入ってしまうため強い力でくくらなければならず、絣くくりは一般的に男性の仕事とされています。
さらにくくる強さを均一にするため、一反の生地をくくる作業を最初から最後まで一人で行わなければなりません。
一巾にくくる箇所は80亀甲で160、200亀甲で400箇所にもなります。
この絣くくりの工程だけで数ヶ月を要する場合もあると言われています。
はた織り
(出典:http://www.okujun.co.jp/characteristic/process/)
本場結城紬は、地機(じばた)と呼ばれる原始的な織り機で織られます。
足の指に綱をかけて手前に引き綜絖 (そうこう) を上下させる仕組みです。
経糸は織り手の腰あてに結びつけてあり、腰の力で糸の張りを調節します。
結城紬には撚られていない糸で織るため、無理に糸を張ると切れてしまうのです。
緯糸はまず筬(おさ)で打ち込み、さらに大きな杼(ひ)で打ち込まれます。
高級な品ものになると、一年近くの時間をかけて織られています。
結城紬の着物の特徴を理解して、コーディネートを楽しみましょう!
日本三大紬の一つである結城紬は厚く暖かな着物で、上品な亀甲絣柄が特徴的です。
素朴な柄の結城紬には、華やかめの名古屋帯や半幅帯を合わせると良いことも勉強になりました!
それは良かったわ。
本場結城紬と普通の結城紬(いしげ結城紬)の違いも理解して、自分にピッタリの結城紬を見つけましょうね。
他の日本三大紬や着物についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご覧下さい。
『【着物買取】大島紬の価格相場は高い?損をしない売り方を解説!』
こんばんは☺︎
祖父母が結城市に住んでいました。
既に他界してしまったのですが祖父母の住んだ地の歴史を調べていくうちにこちらのサイトにたどり着きました。
すみません。
厚かましくて申し訳ないのですが、結城紬についてとても丁寧に記載されていて読みやすく勉強になったのですが…冒頭部分赤文字で『栃木県結城市、茨城県小山市』となっておりますが正しくは『栃木県小山市、茨城県結城市』なのでお伝えできればと思いメールさせていただきました。