「黄八丈ってどんな着物なんだろう?」
「黄八丈って高いって聞くけど、実際いくらくらいの値段なんだろう?」
「黄八丈ってどんな帯で着こなしたりコーディネートすれば良いんだろう?」
黄八丈はよく聞く着物ですが、詳しく知らない方は少なくないのではないでしょうか?
こんにちは。『着物買取女将』のかずよです。
黄八丈は八丈島で作られる鮮やかな黄色が特徴の着物ですが、実は色や産地によって種類が他にもあるのです。
私は黄八丈を着てみたいのですが、時代劇の町娘が着ている着物っていうイメージがあって、若い人しか着てはいけないんじゃないかと迷っているんです…
確かに明るい色の黄八丈は若い人の方が似合いますが、落ち着いた色合いの黄八丈もあって大人の女性も似合うんですよ。今回はそんな黄八丈の種類から年齢に合わせた色や帯のコーディネート法、値段まで黄八丈に関する全てのことを分かりやすくお伝えしていきますね。
この記事の目次
黄八丈とは、八丈島で作られた草木染めの絹着物
(出典:https://item.rakuten.co.jp/tenyou/130304-1106347/)
黄八丈(きはちじょう)とは、東京八丈島の歴史ある草木染めの手織り絹着物です。
特徴は、縞に生えている天然の草木を使って染め上げた鮮やかな黄色と絹の光沢感です。
黄八丈は大島紬や結城紬といった高級な着物に並ぶ高価な着物と見なされ、現在は国の伝統工芸品に指定されています。
黄八丈の柄は縞模様や格子模様が多い
黄八丈の柄はしましまになっている縞模様や、線が十字に交差している格子模様が一般的です。
シンプルな柄が多いので、品良く着こなすことができますね。
黄八丈の格は紬と同格。いつ着る着物?
黄八丈は高価な着物と言えども、紬は紬です。
紬とは先に染めておいた糸を使って柄付けをしながら着物を織っていく「先染めの着物」です。
一方、色付けされていない白い糸を使って着物を織り、その後に着物を染めて色付けする「後染めの着物」は留袖や振袖など格が高い着物が多いです。
今回の黄八丈は基本的に黄色く染められた糸を使って着物を織るので、先染めの紬となります。
紬である黄八丈は友人との食事やお出かけ、旅行、買い物などのカジュアルなシーンで着られる着物です。
フォーマルな場である結婚式や披露宴、入学式、卒業式などの式典には着ていけないので気をつけましょう。
黄八丈の色や染料の種類と見分け方
黄八丈と一口に言っても、色や染料、産地によって名称があるので、それぞれの違いや見分け方をお伝えしますね。
通常の黄八丈
(出典:https://item.rakuten.co.jp/idnet821/3865618/?iasid=07rpp_10095___e4-jqalxev9-2y-8570e2c4-2e9c-47d7-a67b-d1bc0b56d8ae)
通常の黄色い黄八丈の染料は、八丈刈安(はちじょうかりやす)というイネ科の植物を使っています。
糸を八丈刈安の煮汁に一晩漬け込み翌朝に絞って干すという作業を十数回繰り返して鮮やかな黄色に染め上げていきます。
その後、榊や椿の灰汁に付けて媒染することで、黄色に深みを出していきます。
黒八丈(黒い黄八丈)
(出典:https://item.rakuten.co.jp/kimono-zukuri/11062-110001/)
黒八丈(くろはちじょう)とは、乾燥させた椎の樹皮を使って染色した黒い黄八丈です。
椎の樹皮の煮汁で染色した後に、自然の沼に浸ける「泥付け」をします。
泥に含まれている鉄分と椎の樹皮に含まれているタンニンが結合することでキレイな黒色になるのです。
最後に水洗いをして乾燥させると、光沢のある上品な黒色に仕上がります。
鳶八丈(赤みのある茶色い黄八丈)
(出典:https://item.rakuten.co.jp/housai-kan/kihachi-284467-462/)
鳶八丈(とびはちじょう)とは、マダミ(タブノキ)というクスノキ科の植物の樹皮を使って染めた赤みのある茶色い黄八丈です。
マダミの煮汁で染め上げ、同じくマダミの灰汁で媒染し、深みのある茶色に仕上げていきます。
本場黄八丈
黄八丈は八丈島で作られた着物ですが、八丈島の他にも秋田や米沢、十日町が産地の黄八丈もあります。
そこで八丈島が産地の黄八丈を「本場黄八丈」、秋田の黄八丈を「秋田黄八丈」、同様に「米沢黄八丈」「十日町黄八丈」と呼ぶようになりました。
つまり八丈島で作られた黒八丈や鳶八丈は、「本場黒八丈」「本場鳶八丈」と呼ぶということですね。
黄八丈の値段や価格
黄八丈は高価な着物なので、最低でも30万円はかかります。
著名な作家さんが手がけた黄八丈になると、100万円以上するものもあります。
展示会などのイベントや呉服店で購入するよりも、ネット通販の方が比較的安価で購入することができます。
黄八丈に似合う帯は半幅帯や名古屋帯がおすすめ
黄八丈は比較的カジュアルな場で着る着物なので、光らない染めの名古屋帯や気軽に締められる半幅帯がおすすめです。
帯の色選びはカジュアルな着物なのでこれといったマナーは無く、好きな色を選んで大丈夫です。
もしも色選びに悩む場合は、着物と同系色の帯を選べば外さないですね。
一方で、フォーマルシーンで付ける金や銀の刺繍が入っている礼装用の袋帯は黄八丈に不向きなので気をつけましょう。
黄八丈の男物角帯もステキ
(出典:https://item.rakuten.co.jp/ohmiya/kihati-kakuobi-1/)
角帯とは男物の帯で一番格式の高いものですが、その角帯の黄八丈も高級感あって素敵です。
黄八丈ならではの深みのある黄色や黒八丈の渋い黒さが大人の上品さを醸し出してますね。
黄八丈は年齢に関わらず着られる着物
(出典:https://item.rakuten.co.jp/odori-company/30505/)
黄八丈は上の画像のように時代劇に出てくる町娘が着ている着物というイメージがついているので、若い女性が着る着物と思っている方が多いです。
確かに町娘が着るような鮮やかな黄色に赤い格子柄の入った黄八丈は、お年を召した方が着るには不向きかもしれません。
しかし下の画像のような落ち着いた黄色の黄八丈なら大人な女性にもピッタリ似合います。
(出典:https://item.rakuten.co.jp/brandox/1000001815855/)
それに下の画像のように鮮やかな黄色の黄八丈でも、黒い帯などのシックな帯と合わせることで大人な着こなしをすることもできます。
黄八丈はコーディネートを工夫することで年齢に関わらず着られる着物なんですよ。
黄八丈の着られる季節は、真夏以外大丈夫
黄八丈の着られる季節は、基本的に袷(あわせ)や単衣(ひとえ)といった着物の仕立て方によって異なります。
袷は裏地のある着物で暖かいので、10月〜4月といった比較的涼しい、寒い季節に着ます。
一方、単衣は裏地が無く涼しいので、6月や9月といった少し暑い季節に着ます。
もちろん衣替えのような厳密な決まりは無く、暑がりな方は春や秋に単衣の着物を着ても良いですし、寒がりな方は袷の着物を着ても大丈夫です。
夏用の着物は「麻」を素材に使うことが多いですが、黄八丈は「絹」の着物なので夏は暑くて不向きですね。
黄八丈の着こなし方やコーディネート例
上品で渋めな色合いの黄八丈コーディネート
鮮やかな黄八丈に紺色の帯を合わせたバランスの取れたコーディネート
View this post on Instagram
#黄八丈 に #櫛織り の帯で。 #和小物さくら の小桜組が引き締めてくれてます。 こればっかり… #アザラシ の鼻緒で #秋コーディネート の出来上がり #着物 #着物ゆりね #北摂着付け教室
シックな黒八丈に白い名古屋帯を合わせたモノトーンコーディネート
縞模様の鳶八丈に白い帯を合わせた大人コーディネート
黄八丈の歴史
黄八丈の歴史は長く、平安時代に農産物が取れづらかった八丈島の年貢として黄八丈を収めたのが始まりと言われています。
鎌倉時代では八丈島から献上された黄八丈は「黄紬(きつむぎ)」と呼ばれ、北条家に献上されていました。
その後、江戸幕府になっても黄八丈の献上は続き、「八丈絹(はちじょうぎぬ)」と呼ばれていました。
八丈絹は鮮やかな黄色で華やかだったので、江戸時代には将軍の着物から大奥の着物として使われるように変わっていきました。
特に徳川5代将軍の綱吉公は黄八丈を気に入っていたとのことで、自身の家族に特別品を発注したり家臣への褒美として賜ったりしていました。
その後、黄八丈の着用が町人にも許可されるようになると、急速に広まっていきました。
その結果、時代劇で見るような江戸の町娘の象徴的な着物となったのです。
江戸時代末期には「八丈絹」から現在と同じ「黄八丈」と呼ばれるようになりました。
黄八丈と山下家の関係|人間国宝に指定された山下めゆ氏と八百子氏
(出典:https://tokusenkimono.com/items/137/)
山下家とは、江戸時代から黄八丈を献上する際の船の管理をしていた家系です。
その山下家の21代当主である山下惣右ヱ門氏は高い染色技術を持った染め師であり、その技術を孫娘である山下めゆ氏に伝授しました。
この山下めゆ氏は昔から続いてきた高度な黄八丈の染め技術を守り続けたことから、1986年に東京都の指定無形文化財技術保持者として人間国宝に認定されました。
そして山下めゆ氏の娘である山下八百子氏も2年後の1988年に人間国宝に認定されています。
現在では山下めゆ氏の孫娘にあたる山下芙美子氏が「黄八丈めゆ工房」にて黄八丈の制作に取り組んでいます。
山下家が作った黄八丈はどれも高価で、100万円以上の値段がついていますね。
黄八丈は年齢にあった着物や帯を選んでコーディネートしよう
黄八丈は鮮やかな黄色の黄八丈から茶色の鳶八丈、シックな黒八丈まで様々な種類の風合いを楽しめる着物ですね。
着物や帯の柄や色を選ぶことで年齢に関わらず着られるのも魅力です。
私は35歳なので、上品に見える落ち着いた色の黄八丈を選んでみたいと思います!
もしも新しい着物を買う場合は、同時に着なくなった着物も売って整理するのをおすすめするわ。
私も実際に6社の着物買取業者に査定してもらって、一番高い金額をつけてくれた業者に買取ってもらったの。
着物の価値は時間と共にドンドン下がるから、まずは一度無料査定してもらうといいわよ!